けさらんぱの自由帳

とあるFF14プレイヤーがFF14のこととか関係ないことを書いていく予定のブログです。記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。

シグモイド関数でコントラスト強調

たくさんの画像のコントラストを上げようとしたのですが、どんなアプリを使えばいいのかわからず、そもそもコントラストを上げると言っても、単純に値の上下数%を飽和させる方法とか、イコライザを使う方法とかいくつもあるようなので、自分の勉強も兼ねて適当に実装してみることにしました。今回はとりあえず目的に合っていそうだった、シグモイド関数を使ったコントラスト強調を試してみます。

ガンマ補正

いきなり本題とは少しずれた話題ですが、ほとんどのカラーの画像(sRGBの画像)ファイルにはガンマ補正がかかった値が格納されています(sRGBではない、例えばHDRの画像やグレースケールの画像はガンマ補正がないっぽいです)。PhotoshopGIMPだとそのあたり自動で処理してくれているはずなのですが、自分で実装する場合は考慮した方がいいと思います。コントラストの強調だけなら無視してもよさそうですが…

ガンマ補正というのは、昔のCRTディスプレイが入力に対して出力の特性が直線ではなく、
{\displaystyle
y = x^\frac{1}{\gamma}, \gamma=2.2
}
f:id:KesaranPa:20180208125354p:plain
に近い特性になっていて、これを補正するための処理のことです。具体的には
{\displaystyle
y = x^\gamma
}
となるような処理が画像ファイルのデータにはかけられています。

今回処理しようとした画像はsRGBで、上記の補正がかかっているので、画像処理をかける前にガンマ補正を除去する処理を行います。

シグモイド関数

シグモイド関数というのは下記の関数で、S字に似た形をしています。結構いろんなところで活躍しているひとらしいです。
{\displaystyle
\varsigma_a(x) = \frac{1}{1+\mathrm{e}^{-ax}}
}
f:id:KesaranPa:20180208125401p:plain

この形を利用して、明るいところはより明るく、暗いところはより暗くしようというのが今回の目的です。

コントラスト強調

素のままのシグモイド関数は、変曲点がx=0になっています。コントラスト強調に使用するため、x軸をbだけずらして
{\displaystyle
s(x) = \varsigma_a(x-b) = \frac{1}{1+\mathrm{e}^{a(b-x)}}
}
とします。bは、コントラストを強調したい場所になります。例えば、値が20%の周囲でコントラストを強調したいなら、b=0.2とします。aは、どのくらいコントラストを強調するかですが、決定には試行錯誤が必要になると思います。

また、このままだとyの範囲が0から1になっていないので、スケーリングを行います。最終的に、今回のコントラスト強調は下記のようになります。
{ \displaystyle
y = \frac{s(x)-s(0)}{s(1)-s(0)}
}
f:id:KesaranPa:20180208125410p:plain
上記のグラフはa=5.0, b=0.5の場合ですが、値が0.5より低いところではより暗く、0.5より高いところではより明るく、またx=0のときはy=0x=1のときはy=1になっているのがわかります。

Pythonで実装してみる

import math
import numpy as np
from PIL import Image
import sys
import os

def sigmoid(x):
    a = 5.0
    b = 0.5
    return 1.0 / (1.0 + math.exp(a * (b - x)))

lut = np.empty(256)
sigmoid0 = sigmoid(0.0)
sigmoid1 = sigmoid(1.0)
for i in range(256):
    x = i / 255.0
    x = x ** 2.2                                         # ガンマ補正を外す
    x = (sigmoid(x) - sigmoid0) / (sigmoid1 - sigmoid0)  # コントラスト補正をかける
    x = x ** (1.0/2.2)                                   # 再びガンマ補正をかける
    lut[i] = 255.0 * x

for fn in sys.argv[1:]:
    img = np.asarray(Image.open(fn))
    img = lut[img]
    ofn = os.path.splitext(fn)[0] + "-out.png"
    Image.fromarray(np.uint8(img)).save(ofn, quality=95)
    print("%s done." % fn)

numpy便利!

FF14のSSで試してみる

元の画像。 f:id:KesaranPa:20180208133320j:plain

a=5.0, b=0.5とした場合。 f:id:KesaranPa:20180208133335j:plain

b=0のときは、全体が明るくなります。 a=5.0, b=0.0とした場合。 f:id:KesaranPa:20180208133348j:plain

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